24時間 田んぼで「微生物発電」 電気の“地産地消”めざす再生可能エネルギーに新たな可能性【鳥取発】
再生可能エネルギーの可能性を信じ、「微生物発電」を県と共同で研究している企業を取材した。 【画像】ガラス瓶をリサイクルしてできた微生物のすみか「ポーラスα」など(11枚)
田んぼの微生物×燃料電池で“24時間発電”
記者が訪れたのは、鳥取市鹿野町(しかのちょう)にある広さ約100平方メートルの田んぼ。燃料電池が等間隔で置かれ、横には「微生物発電」と書かれた看板が設置されている。 燃料電池と微生物。これをどのように組み合わせて発電するのだろうか。 鳥取再資源化研究所・山﨑裕明さん: こちらが微生物燃料電池です。この土の中に微生物がたくさんいます。 電池の中には電極が2つ入っています 着目したのは、田んぼなどの土や泥に住む微生物だ。有機物を分解する時に、電子を発生させる種類のものがあり、その電子を利用して発電する。 田んぼに燃料電池を64個置いて、さまざまな条件のもと、どのくらい発電できるのか実証実験が進められている。 この実験に2021年3月から取り組むのは、県内でリサイクル業を営む鳥取再資源化研究所だ。鳥取県と独自に共同開発した「ある素材」を、この発電システムに活用している。
カギは鳥取県と共同開発「ポーラスα」 発電量が10倍に
「ある素材」とは?向かったのは、北栄町の工場だ。 鳥取再資源化研究所・山﨑裕明さん: よく見ていただくと、素材にたくさん穴が空いている。この中にたくさん微生物が入ることで、発電量が増える仕組みです。 鳥取再資源化研究所・山﨑裕明さん: こちらの装置が、田んぼでみていただいたもののボトルサイズのものです。今、線をつなぐと電気が流れ、LEDランプが点灯しました こちらがその素材「ポーラスα」。回収したガラス瓶をリサイクルして製造している。 素材の表面に空いた無数の穴が微生物のすみかとなり、増殖することで、発電効率が向上する。従来に比べ、発電量が10倍になったという。SDGsを進める鳥取市は、2022年度に300万円を助成した。2030年までの実用化を目指している。 鳥取再資源化研究所・山﨑裕明さん: 微生物発電のメリットは、微生物は24時間活動しているので、(太陽光発電と異なり)夜間も含めて発電することができること 理論上は、100平方メートルの田んぼで一般家庭1世帯の消費電力(400kwh/1ヶ月)が賄えるとしていて、新たな再生可能エネルギーの可能性を示している。 実用化されれば、耕作放棄地や休耕田を活用しつつ、地域で使う電気を地域で発電する「電気のサイクル」が生まれる仕組みに期待がかかっている。 (TSKさんいん中央テレビ)
TSKさんいん中央テレビ